2017年4月17日月曜日

<もはや沈黙するのもまた苦痛である 歴史学者 和田春樹さんを迎えて(大泉わくわく講座②)>

先日、和田春樹さんをお招きした講演会「大泉から平和国家を考える」を行いました。おかげさまで今回の会場、大泉図書館も超満員、大変な熱気の中で行うことができました。
私の事務所では「大泉わくわく講座」(「泉」と「湧く」をかけた名前です☺)と題して、地域、地方自治に所縁のある方をお招きして、皆さんと一緒に地域の課題を学び合う機会を設けています。一回目は憲法学者で私の恩師でもある樋口陽一さんに「地方自治と憲法」についてお話いただき、二回目は歴史学者で、地域でベトナム戦争への反対運動を行った「大泉市民の集い」の代表でもある和田春樹さんからお話しを伺うことになりました。この大泉市民の集い、実は私の亡くなった義父も若いころから参加していました。

ベトナム戦争が始まってから、すぐ近くの朝霞の米軍基地にベトナム戦争の傷病兵が連日、先生が以前から住んでいらっしゃった大泉学園町の頭上を通ってヘリで運ばれるようになったとのこと。ロシア史を研究していた先生は、第一次大戦下でロシアの兵士たちがもう戦争がいやだといって革命に加わる話を論文に書きながら、現実に何もしないということが耐えられなくなり、キング牧師が暗殺された翌日から、ご夫婦で反対のビラを大泉学園駅前で配りはじめ、それに呼応した方々が集まって1968 年、「大泉市民の集い」が誕生したとのことです。そして、皆さんの活動もあって、二年後の1970年12月には野戦病院は閉鎖されたのです。先生が作成した「大泉学園地区に住む市民のみなさんに訴える」と題されたビラ、講演会でも配布したのですが、とても印象的でした。

「ベトナム戦争について、ジョンソン大統領はいう、『ベトナムにおける自由」のため、『民主主義のため」だと。だが、数百万発の爆弾によって押し付けられる『自由」とは何か、『民主主義」とは何なのか…私たちには、老いた両親と二歳の娘がいる。幸いにして健康な私たちの娘が彼女の祖父や祖母とたわむれているその頭上を、汚い戦争の戦士たちが運ばれていくのをみるのは、苦痛である。もはや沈黙するのもまた苦痛である。私たちはアメリカのベトナム侵略に抗議する。(一部抜粋)」

当時30歳だった和田先生が奥様とたった二人でこのビラをまいたことが活動の始まりだったと知り、改めて胸が熱くなりました。

先生のお話を伺ってから、私からは現在の状況について話をしました。世界を見ると、数日前、トランプ大統領が新型爆弾をアフガニスタンで初めて投下しました。この爆弾、MOAB(通称:Mother of all the bombs)「すべての爆弾の母」との名称で、最強の非核爆弾と呼ばれ、900メートルの範囲をすべて爆風でなぎ倒し、殺してしまうものです。この爆弾は、ベトナム戦争で使われた大型爆弾(デイジーカッター)の後継として開発されたもので、爆弾としてだけではなく、化学汚染をも引き起こし、さらに戦闘員、非戦闘員の区別無く無差別に殺戮する兵器として使われたものでした。

国内に目を転じても、最近、政府によって教育勅語に対する肯定的な発言が繰り返されています。稲田防衛大臣は「教育勅語の精神である道義国家を目指すべき」、安倍首相も教育勅語を園児に唱和させる森友学園の教育方針を、「大変すばらしい」などと評価していました。地方議会でも学校の道徳の授業で使うべき、という発言も出ています。しかし、教育勅語は天皇が臣民に授ける、という形で作られたもので、主権が天皇にあるという前提になっています。これは、憲法の基本的な理念に完全に反するものです。

そんな中、一筋の光が地域での市民の方々の活動だと思います。
これまで頑張ってきてくださった方、草の根で活動し続けてくださった方がいたからこそ今またこのような危機の時代においても、私たちが活動を続けてこれた。今回の先生のお話を伺って、改めて勇気づけられる、そんな気がしました。

次回の「大泉わくわく講座」は6月、次のテーマは大泉のまちづくりについて、樹木医の方のお話を通じて考える予定です。ぜひご参加ください!